これは、15年以上の思い出と仲間を一瞬で失ったトレーナーの再興記である―
忘れもしない。
2018年1月2日の出来事である。
私はニンテンドー3DSの入ったハンドバッグを電車の棚に置き忘れてしまった。
それに気付いた私はすぐさま駅員さんにそのことを伝えた。しかし、いくら待てども駅員さんからのご連絡はなかった。
ありとあらゆる手段を尽くした。
どこかに落し物として届いていないか?
実はハンドバッグには入れておらず、自宅のどこかにあるのではないか?と自室をひっくり返すように探した。
しかし出てくるはずもなかった。
そのニンテンドー3DSにはポケモンXYから最新作のUSUMまでがDLソフトとして1枚のSDカードに収めてあった。
それだけではない、ポケムーバーから連れてきた過去作のポケモンたちを含めれば、私はルビー・サファイアから共に冒険・対戦を繰り広げてきたポケモンたちを一瞬で失ってしまったのだ。
調べてみたが、その発売日は2002年とあった。
つまり、15年以上の記録を全て失ってしまったことになる。
PCに残っていたスクショの数々、もうあの頃の仲間はいない。
人生で一番絶望した、と言っても過言ではなかった。
人目をはばからず取り乱しては涙し、1週間以上ロクに睡眠が取れなかった。
「お探しのバッグが見つかりました!」
というお電話を頂戴し、喜び、我に返ればそれが夢と知り、絶望し、また眠りに落ちれば同じ夢を見る、そしてまた目を覚まし…の繰り返しだった。
相談できる人も少なかった。
ポケモン、ひいてはゲームに対して関心がなければこの一件を聞いたところで、さほど深刻な件ではないと見られるのは、火を見るより明らか。
それどころか、
「よかったじゃない!ゲームを離れるキッカケになって!」
などと言われでもしたら、自分で自分を律することができなくなるのではないかと思い、ただただ黙り込むことに決めたのだ。
古くからの友人には、この件について明らかにした。
1匹のポケモンを、対人戦に耐えうるレベルまでに育てることの難しさ、手間、時間、全てを知っている友人はただただ頷き、涙した。
傍から見ればその風景は可笑しなものかもしれないが、当人たちにとってはそうせざるを得なかった。
いっぱいいっぱいだった。
思い出すたびに苦しみ、自責の念に駆られることに疲れた私は、しばらくポケモンから距離を置くことに決めた。
幸いなことにモンハンやSKYRIM、マインクラフトなど、気持ちを切り替えられる作品はいくつかあったので、ひたすらそれらに打ち込み、時間が解決してくれるのを待った。
実は、復帰するタイミングに関して、自分の中で基準があった。
新作が発表されたら復帰しよう。
それまでは距離を取りつつ、二度とハードを無くさないための準備をしよう。そう決めていた。
そして、「Let’s go ピカチュウ・イーブイ」が発表された。
これを期にポケGOも復活、色々増えていてビックリ。
GOとの連動もある上にSwitchでは初のタイトル。心機一転、気持ちを新たに取り組むには十分。
ハードを無くさないための準備もできた。
発売日は11月を予定しているとのこと。
その発売日を前に、過去のポケモンをもう一度やり直そうと心に決めた。
もう一度0から、思い出と仲間を作るんだ。
最後にもう一度。
これは、15年以上の思い出と仲間を一瞬で失ったトレーナーの再興記である―
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